2025年秋冬のトレンドが出てきましたね。
バッグというものを製作しているのでトレンドチェックは必ずしているハネです。
ネットや雑誌でいろんなメゾンの新作を眺めては何かヒントになるものはないかと思いを巡らせているのです。
この秋冬はなんだか1980年代の匂いがするトレンド模様です。
そう、マハラジャやキングアンドクイーン、ジュリアナ東京といったディスコな世代。
※ジュリアナ東京は1990年代初頭だったと思いますが、ひとくくりにしましょう。
80年代中頃~90年代初頭は、バブルの嵐が吹き荒れていました。
この言い回しも使い古された感がありますが。
金利も株価も土地の値段も急上昇。
とにかくお金がありまくりで、金曜の仕事終えたら韓国に焼肉食べに行く、とかよく聞く話でした。
スキー場もものすごい人で、リフト待ちが2時間なんてことも、あったそうですよ。

すごい人。
今はインバウンド客で混雑しているスキー場ですが、当時は日本人だけでこれだけいたんですね。
新潟県湯沢町の苗場プリンスでユーミンのコンサートが毎年開催されリゾートタウンへと変貌。
「私をスキーに連れてって」なんて映画もありましたね。
しかしながら、ユーミンは今も苗場でコンサートしてるそうです。
流行りすたれは関係ないその一貫したブレない姿勢に頭が下がります。
ブームが去れば簡単に辞めちゃうアーティストもいるのにね。
マンションは即完、即完、で不動産や土地を転がしていた胡散臭いおじさんもいっぱいいました。
六本木とか麻布とかもう怖いイメージしかない。
官民共にやりたい放題で、リクルート事件もこの時期でしたね。
いやぁ懐かしい。
とにかく今では考えられないほどに全てがパワフルにイキッていた時代でした。

ファッションはいわゆるDCブランドの一大隆盛期で
イッセイミヤケ、ヨージヤマモト、コムデギャルソンの御三家に
ビギ、ピンクハウス、ビバユー、ニコル、コムサデモードなどなど。
尖ってましたね~
真っすぐに自分の個性を主張するデザイナーたちが日本から出てきたのです。
元々、ブティック!!!でしか買えなかったものが、パルコとか丸井で一気に世に出てきて、
「an.an」「non-no」といった大衆雑誌が後押ししました。
ブランド信奉者が出現して、群れているのでなかなかの光景です。
ヨージヤマモトなんて、黒しかないから異様ですよね。
しかし、なんせお値段が高かったです。
今では考えられない値段設定でしたが、それでも売れまくってましたね。
クレジットカードという魔法が出現して、今お金がなくても買えちゃったんですよ。

雑誌もこんな特集。
ハネの周辺は「JJ」や「can can」が幅を利かせてましたよ。
1週間コーデって今でもやってますよね。
内容は相変わらず、なんだ。
洋モノだとイタリアブランドのベルサーチとかアルマーニ、バレンチノ、セリーヌにドルチェ&ガッバーナなど。
ワンレン、ボディコンってやつですね。
例の“バブリーダンス”の世界です。
錨ったショルダーのジャケットにタイトスカートの、もはや死語になりつつあるスーツ。
当時のスーツほぼすべてに肩パッドが標準装着されていたと思います。
身体のラインにピタっと張り付くダイエット必須のタイトなドレス。
グリーンや赤のサテンぽい生地モノやダブルの金ボタンなんてチンピラみたいなメンズコーデも。

今見たら恥ずかしくて頬が赤らむようなセンスが横行していました。
時計やアクセサリーもギラついた大振りのもので、いやもうお恥ずかしい限りです。
ディスコの入口には黒服の店員が、入店に値する人民を振り分けていたとかいないとか・・・
そうそう、ブティックの売り子さんがハウスマヌカンと呼ばれていましたね。
完全に死語です・・・
お店の洋服をまとって独自のスタイルを披露していました。
当時はSNSなんてないし、今でいうインフルエンサーみたいな立ち位置なのでしょうか。
メイクも結構尖っていて、いつも不機嫌そうなイメージでした(当時の子供の感想)。
そういう人がどこそこのお店にいる、ていうのが口コミでしかわからなくて
知ってる人はおしゃれに敏感、知らない奴はダサい、的な差別も。
尖ったオシャレがエライ、みたいなそんな空気感もありましたね。
ある意味多様性とは完全に逆行していた気がします。
1985年のプラザ合意によって急速な円高が進み、日本人がパリだミラノだ、と繰り出してはブランド品を買いあさる、なんてことも。
バブルの匂いがプンプンします。
80年代といっても10年間あるので、細かい推移は追いかけませんが、
虚構だ、空洞だ、と言われようがやっぱりパワフルな時代でした。
今の還暦付近の方々のパワーが凄いのは、絶対あの時代を生きていたからだ、とハネは確信します。
女性の社会進出が一層進んで、自らのアイデンティティを表に出す、そのタイミングでバブルがキタ!!て感じ。
なんか文句ある?って聞こえてきそうな威勢のよさ。
そういえば「メッシー君」「アッシー君」などという人を馬鹿にしたような言葉もあったっけ。
圧倒的に女性が力強い。
頼もしいではありませんか。
80年代の日本にはもちろん、ディスコになんて行かない大人たちもいました。
そんな恰好をして夜の街に繰り出すのはほんの一部です。
でも全体の時代の流れとして、破裂しそうに膨らんだ膜の中で刹那的にはしゃいでいた、
そんな風に思えるんですよね。
ちなみにハネは思いっきり乗り遅れた世代で、おいしい思いは全くナシ。
純な少女が目を丸くしてゴージャスな話を聞いていたものです。
マハラジャなんてテレビでしか見たことないし、ジュリアナ東京は跡地しか知りません。
でも世の中が実態のないものに向かってものすごいスピードで動いていて、
でも急ぎ過ぎて焦って転びそうな、そんな危うさは肌感覚でありました。
戦後半世紀も経ってないのに、この猛進力。
すごいわ、日本人。
こんなパワーのある民族だから盲目的に戦争に向かって行ったんだろうな、とも感じます。
本当は80年代ぽいトレンドが来る→ハネアントのおすすめ、的なストーリーを考えていたのです。
でもやっぱり通り過ぎることはできませんでした。
オモシロ過ぎる。
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